突然の脳梗塞――。
ある日、何の前触れもなく起こるこの病気は、命や後遺症への不安と同時に、「医療費はいったいどれくらいかかるのか」という現実的な問題を突きつけてきます。
私自身も、救急搬送される車内で「この先の生活はどうなるのだろう」「入院費やリハビリ費用を払えるのだろうか」と、強い不安に襲われました。
実際、脳梗塞の治療では、急性期の入院、回復期リハビリ、退院後の通院と、段階ごとに医療費が発生します。さらに、公的支援制度を「知っているかどうか」で、自己負担額が大きく変わることも、発症後にはじめて知りました。
この記事では、私自身が脳梗塞を発症し、入院からリハビリ、退院後の生活を送る中で実際にかかった医療費と、医療費を大幅に軽減できた公的支援制度の使い方を、体験談ベースでわかりやすくまとめています。
これから治療や入院を控えている方、突然家族が脳梗塞を発症し費用面で不安を感じている方にとって、「知らなかったせいで損をしないための実用的なガイド」となれば幸いです。
この記事でわかること
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脳梗塞を発症した場合、急性期の入院で実際にどれくらいの医療費がかかるのか
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回復期リハビリテーション病院への転院後、1か月あたりの費用目安と家計への影響
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退院後に必要となる 外来リハビリ・通院・薬代・交通費の現実的な負担額
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高額療養費制度を使うと自己負担がどれほど軽減されるのか、その仕組みと注意点
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入院や退院が月をまたいだ場合に知っておきたい、医療費が「月ごと」に計算される重要なルール
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脳梗塞後に利用できる 自立支援医療制度(更生医療)・介護保険制度の具体的な活用方法
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医療費控除や保険給付金など、申請しないと受け取れないお金のチェックポイント
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医療費と手続きを整理し、不安を減らすための 実体験に基づいたノート管理の工夫
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制度を活用することで、医療費の不安がどのように軽減され、生活がどう変わったのか
脳梗塞治療の「急性期」と「回復期」に必要な費用とは?
脳梗塞発症直後は、一刻を争う治療が必要になります。
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CT
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MRI
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血液検査
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t-PA(必要な場合)
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点滴・抗血栓薬
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24時間の監視体制
急性期病棟では、短時間に多くの処置が行われます。
これらの治療が集中的に行われる急性期は、医療費がもっとも高額になりやすい期間でもあります。
【図表①:脳梗塞・急性期入院(発症直後〜2〜4週間)に 実際にかかる医療費の目安】

救急搬送後の検査(CT・MRI)、点滴・薬剤治療、24時間の監視体制などが集中するため、急性期は医療費が最も高額になりやすい時期です。費用は治療内容や病院、個室利用の有無によって変動しますが、多くの場合ここで医療費のピークを迎えます。
私の場合は、2週間の入院で約45万円ほどでした。
個室の利用や検査数の増加で、さらに上乗せされる人も多いです。
急性期はどうしても費用が高くなりがちですが、後述する 高額療養費制度 を使えば自己負担を大きく抑えることができます。
初めての入院で医療費の高さに戸惑いましたが、後述する制度を活用すれば大きく軽減できます。
※医療費は年齢・所得・治療内容・医療機関・自治体制度により異なります。実際の金額は医療機関や自治体窓口での確認をおすすめします。

回復期リハビリテーション病院の費用
急性期を乗り越え、病状が安定すると「回復期リハビリテーション病院」へ転院します。
ここでは
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理学療法(歩行改善)
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作業療法(手足の動作)
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言語療法(ことば・飲み込み)
を1日2〜3時間ほど行います。
期間が長いため、ここが家計への負担に大きく影響します。
【図表②:回復期リハビリ病院の1か月の費用目安】

回復期リハビリ病院では、理学療法・作業療法・言語療法などを毎日集中的に行うため、入院期間が長くなる傾向があります。その分、医療費は継続的に発生しますが、高額療養費制度を利用することで、自己負担額を大きく抑えられるケースも多くあります。
私自身は1か月弱の入院で 総額約50万円 でした。ただし、ここで 高額療養費制度を申請したことで実際の負担は半額ほど になりました。高額療養費制度は「知っているかどうか」で支払い額が大きく変わるため、利用は必須と言えます。
※医療費は年齢・所得・治療内容・医療機関・自治体制度により異なります。実際の金額は医療機関や自治体窓口での確認をおすすめします。
退院後にかかる費用:外来リハビリ・薬代・交通費
退院後の通院も継続的な負担になります。
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外来リハビリ:1回 1,500〜3,000円
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診察・薬代:1,000〜2,000円
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月額の合計:1〜2万円前後
さらに、意外と大きいのが 交通費 です。
自治体の送迎サービスや介護保険を使うことで費用を減らせます。地域の送迎支援サービスや介護保険の訪問リハビリを活用するのがおすすめです。

医療費を大幅に減らせる「公的支援制度」
日本は医療制度が充実していますが、「知らなければ使えない」仕組みが多く存在します。
私も最初は何も知らず、後から申請して返金してもらった制度がいくつもありました。
代表的な制度を整理して紹介します。
① 高額療養費制度で支払いを抑える
1か月の医療費が一定額を超えた場合、超過分が返金される制度です。
一般的な世帯では
自己負担上限は約8〜9万円ほど。
入院前に「限度額適用認定証」を取得しておけば、病院の会計時に自動的に上限額に調整されます。 そのため、窓口で高額な医療費を一時的に支払う必要がなく、家計への負担を軽減できます。
入院費用の申請は「月ごと」が基本。
医療費の申請は、必ず月単位で区切って計算される仕組みになっています。 ここで注意したいのは、入院や退院が月をまたぐケースです。
例えば、先月の月末に入院し、今月の月初めに退院した場合を考えてみましょう。
- 先月と今月の費用を合算して「一定額を超えたかどうか」を判断するのではなく、それぞれの月ごとに判定されます。
- 先月分だけで上限を超えた場合は先月分が対象となり、今月分だけで上限を超えた場合は今月分が対象となります。
- 逆に、先月と今月を合計すると上限を超えていたとしても、月ごとの計算で超えていなければ対象にはなりません。
この「月ごとに区切る」というルールが、申請の際に非常に重要なポイントになります。
② 自立支援医療制度(更生医療)
脳梗塞後、失語症や半身まひが残る場合は「自立支援医療制度」の対象になることがあります。
認定されると、医療費が1割負担になる場合があるため、長期リハビリには特に有効です。
リハビリや装具作成など、継続的に治療が必要な方にとって心強い支援です。
③ 介護保険制度で在宅生活を支える
65歳以上、または40歳以上で脳卒中・脳梗塞などの特定疾病に該当する場合は介護保険制度を利用できます。
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訪問リハビリ
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通所リハビリ(デイケア)
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手すりやシャワーチェアなどの福祉用具レンタル
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住宅改修(手すり・段差解消)
などを 1〜3割負担 で利用できます。
医療費を抑えるための実践ポイント
制度以外にも、知っておくと大きく変わる節約ポイントがあります。
医療費控除を忘れずに申請
1年間10万円以上の医療費で確定申告が可能。
病院の領収書だけでなく、薬局の購入費や通院の交通費も対象になります。
加入している保険・共済を確認する
加入している医療保険や共済に「脳卒中特約」「入院給付金」が含まれていることがあります。
私も生命保険会社に確認し、診断給付金を受け取ることができ大きな安心につながりました。
知らずに申請しないままではもったいないので、早めの確認が大切です。
自宅リハビリで交通費を節約
外来回数を減らすことで、交通費や時間の負担も軽くなります。
地域により「リハビリ外来補助」「障害者割引」などの制度があるため、地域包括支援センターに相談するのがおすすめです。
情報を管理する「ノート術」と制度利用での変化
私は、入院後の混乱を防ぐために 1冊のノートを使い始めました。
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診察内容のメモ
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毎月の医療費
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申請した制度
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次の手続きの予定
をまとめておくと、通院時の確認もスムーズで、家族とも共有しやすくなります。
結果的に精神的な混乱が減り、リハビリに集中できました。
情報整理は、精神的な安心にもつながります。
体験談:制度利用で生活がどう変わったか
退院直後は、医療費と生活費の両立に大きな不安がありました。
しかし、制度の利用が進むにつれて支出が安定し、月々の医療費は9万円以内に収まり、家計に余裕が生まれました。
「お金の不安が減ると、心が軽くなり、リハビリにも前向きに取り組める。」
これは体験したからこそ実感できた大きな変化です。
制度を知ることは、治療と同じくらい大切だと実感しています。
まとめ|医療費を抑える最強の武器は「知識」
脳梗塞・脳卒中は突然起こる病気ですが、
医療費の負担は「事前の準備」と「制度の理解」で大きく減らせます。
覚えておきたい4つのポイントは次のとおりです。
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高額療養費制度を必ず活用する
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自立支援医療・介護保険制度を上手に使う
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医療費控除・給付金の申請を忘れない
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ノートで情報と費用を整理する
知ることが安心につながり、安心が回復の力になります。
あなたの回復が、制度と支援に支えられて進んでいきますように。


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